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フリーダ・カーロの絵の前で


心臓に子を宿す。
フリーダ・カーロの心臓には。

鼓動を打つたび、家々をノックする
死者が空から降ってくる街、
メキシコ・シティ。

こっけいな骸骨顔をして
ひからびちゃった死者たちが、
金と銀とで降ってくる。

粉っぽく。


大事なものはひとつひとつ失った。

自ら壊した物も、
奪われるようになくなった物も、
記憶ばかりを極彩色の祭壇に飾って。


女は無視される。

家の
台所と浴室の間に、
玄関の目の前に、
窓の下の茂みに、
女達は横たわって。
まるでそこにいないかのように
人は女を踏みつけ、家に入ってくる。

心臓が打つたびに。
by diamonds-pearls | 2004-12-24 00:35 | poetry
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