キューバ


 空港に迎えに来たのは
 見知らぬチョコレート色の男。
 車のメーターはどれも壊れている。
 連れ去られるようなスピードで海岸線を走る。
 夕暮れのパープル。
 油田の炎。
 ガソリンの臭いにまじった
 甘ったるいラムの香り。
 バラデロ。
 パラディ、とは似て非なるもの。
 きっと天国のようなビーチと信じて。
 こんな寒い夜の闇ではなくて。
 

 寒いビーチにねそべる
 借り物のような私
 いや、この長イスや白い大きなタオルだって
 みんな借りたもの
 2ドルで


 日に何度もNOという。
 

 キューバ人には
 キューバ人の都合というものがある。
 だれでも踊りが上手いわけじゃない。
 カルデナス。
 昨夜、私は踊りたかったのに
 彼はふざけて腰をあわせた。
 不快なことだが
 私もふざけて笑った。
 ちょっとした気遣い。
 キューバ人にも都合というものがある。
 カルデナスという小さな町の
 道の小さな水たまり。
 彼の体には、小さすぎるTシャツ。
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by diamonds-pearls | 2004-11-28 06:35 | poetry
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