雪が降っている。 戸はもう、重く開かない、しばらくの間は。 厚く積もった雪は、この部屋を孤島にした。 ベッドの中は体温で暖かく、 まだしばらくは、食料もある。 詩人の女は、恋人たちを 果肉に包まれたアーモンドの実にたとえた。 種の中で向かい合う、一対の白い胚のようだと。 「教えて、私達のアーモンドの木はどこにあるの?」 彼女は、訊ねるばかりで 自らの成る木を見つけられなかった。 向こうの丘には一本のさみしい木があり、 その先、林檎の林の入り口を教えている。 冬の始まりには、私たちはよくそこを歩き 気まぐれに林檎を頬張った。 手のひらに入るほどの小さな林檎。 幾つかをまだ木に残して、おそらくはこの雪の下で 凍りながら土に返って行く。 この土地にアーモンドの木は育たない。 (冷たさに、根を広げることなく) 「教えて、私達のアーモンドの木はどこにあるの?」 なるほど、いつだって確かなものが必要だ。 私もさっきまで、手探りでそれを探していた。 けれど、雪がすべてをおおって 私たちの木もまた、見つけ出すことが出来ない。 (足ばかりが、シーツに絡まり) 明日、重いドアを開けて 私は外へ出るだろう。 あなたのまぶたは閉じたまま きっと、私が靴を履く音にも気付かない。 埋もれた道を探し、川沿いに駅まで歩いていこう。 切符は列車の中で買えばいい。 列車に乗るのだ 明日こそ。
by diamonds-pearls
| 2004-11-27 20:48
| poetry
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