イルクーツク、7月




ロシア正教会の丸屋根は
7月の明るい空気を光らせ、
外壁もまだ、白く清潔なままだが
もう、鐘を鳴らす人はいない。

重い立派な木戸を開ければ、
ベンチも祭壇もなく、

代わりに
トナカイや鹿、シベリアの大きな熊、象、
ライオン、豹、狼、イタチ、ネズミ、
おびただしい数の剥製が、
多分なんの意味もなく置かれていた。

あるものは壁に、
あるものは天井から、
あるものは大きなものの腹の下に。


漆喰の剥がれを隠すかのように
甲虫と蝶、蛾が、壁を覆い尽くした。
箱にピンで留められたまま。

引き出しには、鳥。
ていねいに羽根を折りたたまれて。

祈りに頭を垂れた場所にさえ、
荒々しい骸が、捨て置かれた。
足についた土を払うこともなく。



まるで魂を積み忘れた箱舟。

どの岸も見つけられないまま、
結局、この街と共に沈んでいくようだ。
地下室の床に、イコンを散らかしたまま。


雨はまだ降らない。
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by diamonds-pearls | 2004-12-08 00:57 | poetry
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